ここでは、貸し倒れ損失の実例をお伝えします。日本興業銀行は、たくさんの金融機関に対して、債権放棄をすることが可能となる、住専処理法が施工されるよりも以前に、住宅金融専門会社、株式会社日本ハウジングローンへ貸し付けていた総額三千七百六十億円以上の債権について、回収不可能との判断によって、債権を全額(両方共に)放棄しました。
そして、同じ年度での決算や、税理申告、そして確定申告をするときに、賃借対照表に全額貸倒損失引当金として、計上をしていました。
ですが、その賃借対照表を見て税務署長が、住宅金融専門会社、株式会社日本ハウジングローンは全額回収不能とは言えないということで、貸倒損失を更正するという処分を通達しました。
しかし、最高裁までもつれた裁判では、金銭債権を賃借対照表の貸倒損失として記録するためには、金銭債権の回収不能総額が全額という条件が必要となります。さらに、そのとき全額を回収することができないということが、誰から見ても明確でなければなりません。
しかしながら、この判断としては債務者のそのときの資産状況であったり、返済能力といったような債務者が抱えている現状だけではなくて、金銭債権を全額回収するために発生してしまう労力であったり、債権額とそれを支払わせるための取立費用の間の比較衡量、といったことも、すべてをトータルに含めた判断をしなければならないとし裁判所は判断しました。
それによって、債権の全額を回収することは、客観的に見て不可能ということが明確であるとして、この判決を否認し、税務署の敗訴が決定しました。
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