前述した興銀事件というものは、金銭債権を回収することが不可能と言うことに対して、それまでであれば、基本通達の内容がおおまかな基準となって、貸倒をしてもいいかどうかということを判断することになっていました。しかし、この事件による判決においては、事実上の貸倒の判断としては、基本通達だけの判断としてではなく、その他の債権者の置かれている状況や、事情もトータルで判断し、社会通念をしっかりと踏まえた上での弾力的な判断がされるべきであるという意味合いをもっていることが、とても印象強いのではないでしょうか。
そして、この事件が起きてから、国税庁の運営しているホームページの中には、平成十六年十二月二十四日の最高裁判決を受けて、それ以降に発生する金銭債権の貸倒引当金などの損失の判断についてという記事を掲載しました。
そして、実務上では、貸し倒れの種類としては、法律上の貸倒であったり、形式上の貸倒というものであれば、判断することは簡単でした。なぜかと言うと、客観的な判断をすることが容易であったためです。
しかし、事実上の貸倒の判断をしていく場合には、ほとんどのケースにおいて客観的な根拠がはっきりとは提示することができず、税務当局と納税者たちの間で争われることも多かったようです。
ですが、この事件によって、事実上の貸倒というものは、社会通念に基づいてしっかりと貸し倒れ計上をするか判断できることで、前もって照会しておくことで税務リスクが軽くなりました。これを考えると、実務面からしても、とても大きな意味がありました。
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